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俳優としても活動している筆者が『Hulu』や『Netflix』など、動画配信サービスのオリジナル作品をレビューしていく連載企画。

第1回目となる今回は、歌手で女優のセレーナ・ゴメスが製作総指揮を務めたことで話題になった、Netflixドラマ『13の理由(原題:13 Reasons Why)』をレビューしていきます!

出典:https://www.netflix.com/jp/title/80117470

13の理由

ジャンル:サスペンスドラマ
テーマ:いじめ、若者の葛藤、友情、愛
キャスト:ディラン・ミネット、キャサリン・ラングフォード、ケイト・ウォルシュ、クリスチャン・ナバロ、ジャスティン・プレンティス ほか
監督:トム・マッカーシー
脚本:ブライアン・ヨーキー
製作総指揮:セレーナ・ゴメス

▲『13の理由』予告編。

あらすじ

アメリカのとあるハイスクールで一人の女生徒が自殺した。

彼女の名前は“ハンナ”。学校全体に重たい空気が流れる中、彼女に想いを寄せていたクレイの元に差出人不明の箱が届く。

箱の中に入っていたのは13のカセットテープで、そこには自殺したハンナの声が録音されていた。

彼女が自殺するに至ったのには13の理由があり、カセットテープを聴き終えた時、そのすべてが明らかになるという。そしてこのテープで名前が挙がった(彼女の死に関係している)13人は、順番にテープを次の人に郵送しなければならない。

ハンナの死の理由について知りたいと思いながらも、少しずつしかテープを再生できないクレイ。様々な葛藤を抱えながら、藻掻き、苦しみ、ついに彼女の中の真実へと辿り着いた時、彼が取った行動とは―――

第一の理由はクラスでの孤立。プライベート写真の流出が悲劇の始まり

自殺した女生徒“ハンナ”は、家庭環境が劣悪・性格が暗い・容姿にコンプレックスがあるといったマイナスステータスを持っていたわけではありません。むしろ容姿端麗で友達も多く、家族にも愛されているごく普通の少女でした。

では何故、彼女が自ら生命を断つという選択をしたのか。第一の理由はプライベート写真の流出でした。

ハンナはジャスティンという男子生徒と恋に落ち、そしてある夜、公園で良い雰囲気になりキスをします。

そこまでは良かったのですが、翌朝の教室で異変が……。昨晩ジャスティンが撮影したハンナの性的な写真が、誰かの手によってクラスの全員に送信されてしまうのです。

ハンナの周りで次々に鳴り響くスマホの着信音。その度に浴びせられるクラスメイトからの好奇と嘲笑の視線……。ハンナは圧倒的な孤立感を感じます。

キーワードは“バタフライ効果”。絶望の積み重ねがハンナを死へと追い詰める

第一の理由だけでもかなり心が抉られる内容でしたが、これはほんの序章に過ぎないのです。

作中では何度も“バタフライ効果”というワードが出てきますが、この言葉がハンナの気持ちを理解していく上で非常に重要なキーワードになっていきます。

バタフライ効果とは

条件がそろえば、一匹の蝶の羽ばたきが一千万キロ先の場所で竜巻を起こす。すなわち非常に小さな事象が、因果関係の末に大きな結果につながるという理論。

ハンナの身の周りで起こった悲劇。それら一つ一つが彼女の死と直結しているわけではありません。

第一の事件が起こった後も、彼女の気持ちは沈み続けるわけではなく、嬉しいことも楽しいことも起こります。しかし、それらすべてが彼女の死へと結びついていくのです……。

脚本が描いている人間心理の深さ。俳優たちの名演に心揺さぶられる

『13の理由』では、人間が希望を失い、生きることを諦めるまでの心理を実に深く描いています。原作の小説は内容が過激すぎると、図書館や学校へ取扱中止を求める苦情が殺到したほど。

そしてその人間心理の描写をより深く、より分かりやすく伝えてくれているのが俳優陣の演技です。彼らは作品の世界を真実として捉え見事に演じきっているため、視聴する側の心も大きく揺さぶられます。

ドラマの最終話にて、ハンナが浴槽でカミソリを使って自殺するシーンが描かれているのですが、ハンナを演じるキャサリン・ラングフォードの表情・手の震え・呼吸のすべてからハンナの気持ちが伝わってきて、思わず画面から目を逸してしまいました。

目を逸した後も彼女の声だけ聞こえてきたのですが、それだけでも筆者の胸を引き裂くには十分すぎました。

ハンナを死に追い詰めた登場人物たちの葛藤にも注目

作中には全部で13人のキャラクターが彼女の死に関わる人物として登場するわけですが、それぞれ彼女の死に対しての関わり方・見方が異なります。

正面から向き合う者や、ハンナが悪いと言い張る者、真実を揉み消そうとする者……。そしてその中で、自分の答えを見つけられない主人公クレイ。

真実を知る度に様々な葛藤が生まれ、その中で苦しみながらも考え抜き、最終的にクレイは過去の出来事をどう捉え、どんな行動を取るのか……。

クレイをはじめとする、ハンナ以外の登場人物たちの葛藤にも注目です。

相手の気持ちを考える事の大切さ。無責任な行動が周りを傷付ける原因に

以上でレビューは終了で、ここからは鑑賞を終えた筆者の感想になります。

作品を観終わった後は、「辛い」「苦しい」といった気持ちになりました。決してハッピーな気持ちになれるドラマではないので、その点は観る前に覚悟しておいた方がいいですよ。

しかし作品を通して考えさせられることが多く、学ぶことは多い作品だと思います。

ハンナ以外の登場人物に共通して感じたのは、“相手(ハンナ)の気持ちを考えられていない行動が目立つ”ということでした。自分勝手な行動、自分にとって都合の良い行動は、相手の気持ちを無視しているため相手を傷つけることもあります。

作中の人物は10代の若者で、その事をきちんと理解できていません。だからこそ、自殺という悲劇が起こったのでしょう。

「では自分は?」「相手が悲しむ顔を見落とさず、きちんと向き合えているか?」

そんな当たり前だけど、つい放棄してしまいがちな事実を突きつけられる作品でした。幸せな気持ちや楽しい気分にはなれませでしたが、心に深く焼き付けられるドラマであったことは間違いありません。

『13の理由』筆者の満足度:90%

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この記事を書いたライター

あつし

Applivのライターをやってます。本業は俳優・ナレーターです。
好きなものはビールで、嫌いなものは発泡酒。と、あとセロリ。

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