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2019年6月1日(土)~ 6月16日(日)の期間で、「第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」が東京・お台場にある「日本科学未来館」「フジテレビ湾岸スタジオ」「東京国際交流館」ほかで開催されています。

本展はアート、エンターテイメント、アニメーション、マンガの4部門に応募された4,384作品の中から選ばれた全受賞作品の展示などを行っています。その中でエンターテイメント部門で優秀賞を受賞した、世界初の「かざすAI図鑑アプリ」である『LINNÉ LENS』制作チーム代表の杉本兼一さんに『LINNÉ LENS』開発にまつわるお話を聞くことができました。

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かざすだけで生き物の名前が分かるAI図鑑『LINNÉ LENS』

『LINNÉ LENS』はスマホのカメラをかざすだけで、さまざまな生き物を識別できるAI図鑑です。認識した生き物は名前だけでなく、その生体や生息域、絶滅危険度などあらゆる情報を閲覧できます。

さらに見つけた生き物は自動で「分類ツリー」に登録され、生き物の多様な繋がりを視覚的に楽しむだけでなく、収集欲が掻き立てられます。

また、『LINNÉ LENS』は写真を撮って送信するタイプではないので、オフラインで使用できるのが特長です。電波の届かない山奥や水中などでも利用できるので、あらゆるレジャーに対応できます。

今回は、そんな『LINNÉ LENS』制作チームの代表である杉本兼一さんに、お話を伺いました。

LINNÉ LENS - かざすAI図鑑

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お試しの「ホモ・サピエンス」で心が鷲掴みに!

▲『LINNÉ LENS』制作チーム代表の杉本兼一さん。第22回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で優秀賞を受賞。

― よろしくお願いします。個人的にも『LINNÉ LENS』で楽しませて頂いているのですが、はじめてアプリを起動した際、試しに近くにいた人にカメラをかざしたところ、「ホモ・サピエンス」と表示されてとても驚きました。あのアイディアはどうやって生まれたのでしょう?

狙い通りですね(笑)。アプリをインストールした際に近くに生き物がいない場合も多いと思い、その時に何にかざすかと考えたら「ヒト」だろうと。「ヒト」も動物ですし、「ホモ・サピエンス」と表示されたら面白いねとチーム内でも盛り上がり、適用しました。

― なるほど。想定済みだったんですね(笑)。これから夏にかけて海や川で遊ぶ機会も増え『LINNÉ LENS』が活躍すると思いますが、ターゲットとしては大人向けなのでしょうか?子供向けなのでしょうか?

そうですね、デザインも洗練させており、どちらかと言えば大人向けを想定していました。元々は海や川などでのレジャーを楽しんだり、水族館や動物園によく行く20代~40代の方がターゲットです。

ですが、シンプルかつ直感的なUXに仕上げましたので、実際には10代~60代の老若男女幅広い層に使われており、小さいお子様も水族館などで親御さんのスマートフォンを使って、夢中で楽しんで頂けているようです。

▲ホモ・サピエンスには「史上最も危険な種」との説明が。生き物ごとにさまざまな説明があり面白い。

世界中の生き物をカバーするのが目標

― 現時点で多くの生き物が識別可能ですが、今後識別できる種類は増えるのでしょうか?

そうですね。現時点で一万種を認識できるようになっていまして。国内の水族館、動物園にいる生き物の9割超、日本の野鳥全633種、世界の犬猫品種のおおよそに対応しています。(より詳しくは魚類約3200種、哺乳類約1300種、犬品種約350種、猫品種約120種、鳥類約1200種、蝶約1100種、爬虫類約350種、両生類約160種、甲殻類470種、軟体動物約400種、そのほか、多数の刺胞動物、昆虫など)

このあとの目標としては、ご要望の多い花・植物ですとか、まだ入りきっていない動物をカバーして行きたいと思っています。時期的な部分はまだ分からないですが……目標としては、世界中の学名がついている188万種をいつかカバーできたら面白いなぁと思っています(笑)。ですが、まずは日本にいる約6万5千種を目指し、海外もまずは水族館や動物園にいる生き物を中心に網羅していきたいと思います。

― ゆくゆくは、世界中どこにいても『LINNÉ LENS』一つあれば、あらゆる生き物の名前が分かるようになるかもしれないんですね!

そういうところまでいけたら良いな、とは思っています。ただ、視覚的な特徴で見分けられる生き物であれば、ゆくゆくはAIであったりディープラーニングであったりで比較的識別できるようになると思いますが、パッと見た外見だけでは分からない特徴を持っている生き物もたくさんいるので、そのあたりの精度の問題は課題としてあります。

― なるほど。例えば地域名など、同じ種類でも場所によって名前が違う魚もいますが、それはどう対応するのでしょうか?

「タカサゴ」のことを沖縄では「グルクン」という、みたいな事ですね。認識している対象自体は同じなので「地方名ではこう」あるいは「外国名ではこう」など、そういうデータの拡張は今後行っていきたいと思っています。

▲「第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」での『LINNÉ LENS』の展示。iPadを使用して実際に試すことができる。

使えば使うほど精度が上がっていく

― いわゆる出世魚や稚魚と成魚で形が大きく違うものなど、識別が難しいものも多いと思います。これはユーザーが撮影する度に精度が上がっていくものなのでしょうか?

そうですね、その通りです。多くの方に利用して頂いて、そこで収集したデータは統計的にサンプリングして、追加学習に活用させて頂きます。なので、使われれば使われるほど、また私達の方でデータを収集すればするほど、分類の精度は上がっていきます。

― ユーザーが増えるほど、どんどん良いアプリになっていくんですね!

はい!ぜひ多くの方にご利用頂きたいなと思います!

― ちなみに現在のダウンロード数はどれくらいでしょうか?

現在、公表はしていないのですが、数十万ダウンロードというところです。

― その中で有料版の割合はどれくらいでしょうか?

こちらも非開示なのですが、想定以上にご購入いただいており、「この内容で480円の買い切りは安すぎる」という声も数多く頂いています。

▲アプリは無料だが1日10種までの制限がある。有料プランにすることで無制限で利用できるようになる。

高速で動く魚を認識させる難しさと、試行錯誤したデザイン

― 少し話を変えて、『LINNÉ LENS』の開発で苦労された点があればお聞かせください。

まず、対象物を認識させる技術的な部分です。高速で動く膨大な種類の魚を複数同時にリアルタイムで認識できるアプリというのは、私達が把握している限り他になく、とてもチャレンジングなものでした。

植物やあまり動かない動物であればゆっくり解析してもいいのですが、例えば超高速で動くマイワシの大群を認識させようとなったら、相当速い処理が必要です。それを全て端末上でリアルタイムに処理しつつ高い精度で認識させるというのは、大きなブレイクスルーだったと感じています。

― デザインもとても特徴的です。

アプリ内の「分類ツリー」という、生き物をコレクションしていく機能のデザインも、苦労した点の一つです。

見つけた生き物を単純な図鑑のように見せる案も当初はありましたが、生物の多様性の広がりや『LINNÉ LENS』の世界観を上手く伝えるために10回以上デザインをやり直していて、ようやく現在のものに辿り着きました。

― アプリ全体を通して未来的で洗練されたデザインだと感じていましたが、とても苦労されているんですね。

おかげさまでご好評頂いています!日本デザインセンターの三澤研究室と一緒に試行錯誤して、サイエンティフィックな雰囲気も持ちながら見て楽しめるものになったと思います。

▲展示ブースにあるディスプレイに映し出される映像でも、対象を認識することができた。スマートフォン上で全ての処理を行うので、素早く認識し対象の名前を表示する。

これからの季節に大活躍する『LINNÉ LENS』!

― ところで、個人的な希望で「こんな機能があると面白いな」というのがあるのですが……。

ぜひ聞かせてください!

― お寿司や刺し身で何の魚か分からないことが多々あり、『LINNÉ LENS』でその名前やどこに生息している魚なのかなどが分かれば、すごく便利で楽しいのですが……。本当に個人的なものですみません!

なるほど、面白いですね(笑)。外国の方がお寿司屋さんに行ったときなどにも良いかもしれません。確かに「切り身を分析したい」などのご要望は頂くので、ユーザーのニーズを踏まえながら検討していきたいと思います(笑)。

― ありがとうございます! 最後に、このアプリを「こういう風に使ってもらいたい」などはありますか?

私はダイビングなどアウトドアが好きなのですが、その時に身近な自然についてあまりにも多くの知らないことがありました。なので、そいうものを知れるきっかけになったり、楽しみながら学べたりすると良いなぁという思いから『LINNÉ LENS』を開発しています。

実際に水族館や動物園でお子様が夢中で使われていたり、魚釣りのシーンで楽しんで使われていたりするので、自然や生き物と触れ合う中で『LINNÉ LENS』を一つのツールとして楽しんで頂ければ嬉しいなと思います。

― ありがとうございました!

▲来場者に『LINNÉ LENS』を説明する杉本さん。『LINNÉ LENS』の展示ブースは「日本科学未来館」と「フジテレビ湾岸スタジオ」の2箇所にある。

「第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」は6月16日(日)まで開催中

『LINNÉ LENS』をスマホに入れてからというもの、仕事の行き帰りやちょっと外に出たときに鳥や猫がいると、とりあえず『LINNÉ LENS』のカメラをかざすようになりました。もちろん、山や海のレジャーシーズンになるこれからの季節は、より一層『LINNÉ LENS』が活躍するシーンが増えると思いますよ。

なお、「第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」は6月16日(日)まで開催中です。『LINNÉ LENS』以外にもさまざまな展示が行われているので、ぜひ足を運んでみてください。

エンターテインメント部門 受賞者トーク「時代を反映するショーケースとしてのエンターテインメント」

6月15日(土)12:30-14:00
会場:日本科学未来館7階 未来館ホール
進行:モデレーターによる進行になります。
登壇者
・ LINNÉ LENS制作チーム(代表:杉本 謙一)(エンターテインメント部門優秀賞『LINNÉ LENS』)
・『TikTok』Japanチーム 白地氏(予定) (エンターテインメント部門優秀賞『TikTok』)
モデレーター:川田 十夢(エンターテインメント部門審査委員/開発者/AR三兄弟 長男)

<ギャラリートーク>
6月15日(土)14:30-15:00、
会場:フジテレビ湾岸スタジオ、『歌舞伎町 探偵セブン』展示前
内容:総合演出の西澤匠による作品紹介
TEL:03 -5341 -4570

第22回文化庁メディア芸術祭

LINNÉ LENS 公式サイト
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