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  • タクシー業界をITで牽引し、海外勢力を迎え撃つ!『全国タクシー』流・業界改革

「スマホからタクシーを呼べる」仕組みを作ったパイオニアとして、日本のタクシー業界のIT化を牽引してきたスマホアプリ『全国タクシー』。

ですが2014年、IT×ライドシェアで米国のタクシー市場を席捲した「Uber」が日本進出。これからIT化が加速すると思われる日本のタクシー業界を、『全国タクシー』はどう見つめているのでしょうか。

そこでこの記事では『全国タクシー』の開発・運営を行うJapnaTaxi株式会社にインタビュー。開発経緯や、タクシードライバーから見たアプリの印象、そして「Uber」上陸で急激に変わる業界での在り方と……過熱する日本のタクシー業界IT化のウラ側をうかがってきました。

▲今回お話を伺ったのは、JapanTaxi株式会社マーケティング部の中川祥一さん。

キッカケは「ピザ配達」。単なる思いつきが、ITへのめり込ませた

― 『全国タクシー』を開発するに至った経緯をおしえてください。

開発のキッカケは、スマホのGPSを利用したドミノピザの「ピンポイントデリバリー」。2010年くらいに話題になったアレです。

弊社代表の川鍋が「ドミノピザのシステムをタクシーに応用できるのでは?」と、社内のエンジニアに開発を依頼して誕生したのが、全国タクシーの前身『日本交通タクシー配車』になります。

― てっきりタクシー業界の課題解決を意図したサービスだと思っていました。

実は軽い気持ちで「アプリを作ってみよう!」って感じでしたね(笑)。

でも後に「Uber」を知り、米国視察に行った際「タクシー業界にもITを取り入れていかないと、Uberが来た時に飲み込まれてしまう……」という危機感が強まり、ITに注力し始めていきました。

― ITのノウハウがない中で、アプリ開発はハードルが高かったのでは?

社内にエンジニアがいると言っても、乗務員さんの給料計算など、表にはでないシステム作りを専門としていたので、アプリ開発はやはり大変でしたね。

でもここ2年で、ITのスタートアップを経験したエンジニアを迎えるなどをして、ITへの力をつけていきました。

「350万DL」に満足しない。アプリを「まず体験してもらう」取り組み姿勢

― リリース直後の反響はどうでしたか?

当時のユーザーにとっては「アプリからタクシーを呼べる」のがかなり新鮮だったようで、Twitterでバズが起きるといった予想以上の反響がありましたね。

またお付き合いのあった提携会社さんから「日本全国に広げてくれないか?」という声も多く、現在の『全国タクシー』を作るに至り、現在では約「350万ダウンロード」していただくことができました。

― 「350万DL」とはすごい! 認知度UPに大きく繋がった施策はありますか?

正直なところ「認知度はまだまだ」と考えています。というのもタクシー配車アプリの認知度を調査したところ……去年は20%、今年でやっと30%近くといった結果が出て、まだまだ満足しきれないですね。

でも認知度UPを感じた瞬間がないわけでもなく、「Google マップ」との連携は大きな反響をいただきました。大きなプラットフォームとタッグを組めたのが認知度を上げられた要因なのかなと。

▲2017年3月より「Google マップ」で出発地・目的地を指定すると、そのまま『全国タクシー』に遷移して配車手続きが可能になった。

― では、他社サービスと差別化となる点を教えてください。

一番のポイントはボリュームですかね。47都道府県で約600以上のタクシー会社、台数ではタクシー全体の20%弱である約4万3000台以上が配車でき、タクシー配車アプリの中でも最大となっています。

あとは機能面だと「JapanTaxi Wallet」などの支払いシステムも差別化となる点ですね。

― 「JapanTaxi Wallet」のどういった点が差別化ポイントなんですか?

全国タクシーユーザーの間では、「全国タクシーの機能の一つである”ネット決済”を一度使うと、支払いがスムーズすぎて面倒な現金支払いに戻れない」という声が多かったんです。

でも、東京のタクシー利用客の「90%以上」がネット決済を利用できない乗り場・路上のタクシーを利用する実態がありました。

東京のタクシー利用の実態に沿う形で「ネット決済の手軽さ」を体験してほしくて導入したのが「JapanTaxi Wallet」という支払い方法です。

▲「JapanTaxi Wallet」は車内のタブレットに表示されるQRコードを読み取ると、車内での支払いをスキップできる。

現状では日本交通のタクシー4,100台でしか利用はできませんが、2020年までに日本全国で5万台の展開を目指しています。

提携会社にも車内タブレットに対応してもらうといったハードルはありますが、徐々に日本交通のタクシー以外でも「ネット決済の便利さ」を体験できる環境を広げていきたいです。

この「日本交通以外のタクシー会社でも使えるように」という考え方も、多くのタクシー会社と提携する『全国タクシー』ならではかもしれませんね。

『全国タクシー』のドライバー評価は? 乗務員アンケートを実施

今回はインタビューだけでなく、実際に業務で『全国タクシー』を使う乗務員さんへアンケートを実施。『全国タクシー』の参画会社である日本交通株式会社の乗務員3名および、日本交通㈱赤羽営業所 川﨑一慶 氏に取材協力いただきました。

Q1.「全国タクシー」への第一印象はどうでしたか?

・時代に合わせた機能で、タクシーも便利になったと感じた
・お客様から直接配車リクエストができ、営業回数(お客様を乗せる回数)が増えるのではないかと感じた
・乗務員側の負担はどうなるのか未知数だと感じた

― 導入当初は「便利」と「不安」の意見があったみたいですね。

必ずしもITに精通していない年配の乗務員の方も多かったでしょうし、「アプリ? 何それ?」的なリアクションもあったと思います。

でもアプリを導入した当時から今でも、会社全体で「どんどんIT化していくぞ!」ってスタンスを全面に打ち出していたので、アプリ導入へ前向きな姿勢を見せる人が多かったみたいですね。

Q2.導入後に変わったと感じた、業務上における良い部分・悪い部分は何ですか?

【良い部分】
・即時スマホ配車が増えたので、営業数が増えた
・乗務員用のタブレットに目的地が表示され、お客様とのやり取りがしやすい
・お客様がよく把握している場所を目的地にする傾向があり、降車がスムーズ
・ネット決済で支払いがスムーズになり、サービスを早く提供できる

【悪い部分】
・決済方法が増え、覚えることが増えた
・乗務員用のタブレットの使用頻度が増え、停車して確認する手間が増えた
・ネット決済での支払いが完了しているか不安になる

― スムーズな営業ができるようになった反面、手間と感じる方も多いみたいですね。

覚えることが増えれば、もちろん手間が増えると感じますからね。

でも私が直接乗務員さんに「アプリって大変じゃないですか?」と聞くと、意外にも「新しくなっても、ただ覚えるだけですよ!」って反応も多くて。

JapanTaxiとしては「オペレーションに支障がない、もしくはできるだけシンプルになるように」と、乗務員さんの使い心地という面も配慮しながら開発をしているつもりなので、協力的な方がいるのは嬉しいですね。

― 良い部分では「生産性が向上した」という意見が多いですね。

『全国タクシー』が浸透した分、配車数が増えましたね。でも迎車で呼ばれたのにワンメーターのお客様だった……のようなケースもあるようで(苦笑)。

配車が身近になったことで様々なケースがありますが、乗務員さんには「営業数が増えて平均収入の向上に効果がある」って考えてもらえているようですね。

Q3.『全国タクシー』を利用するお客様から、どのような反応ありますか?

・迎車の位置がわかって、家を出る時間を調整できて便利
・使い方が簡単なので、すぐ使える
・ネット決済が導入され、すべてをスマホ1つでできて手軽

― このような利用客の意見を、乗務員さんが率先して聞いているのが意外でした。

お客様から頂いたご意見をしっかりとお受けし、改善する仕組みづくりに尽力しています。例えば日本交通では、覆面調査や『全国タクシー』を用いたアンケートを実施して、乗務員の接遇の質をキープしているんですよ。

▲『全国タクシー』でタクシー利用すると、ドライバーの対応に関する評価を行える。

アンケートは各営業所にメールで届き、総合評価が1となると、乗務員に対し個別に指導します。

現在ではこうした改善面にしか利用できていませんが、今後は、評価のいい乗務員さんにインセンティブを返してあげたいと考えていて。評価の高い人を優先的に配車するなど、乗務員のモチベーション向上に役立てていきたいと考えています。

「Uber」有利となる業界動向に、むしろ肯定的。『全国タクシー』今後の狙いとは

― 『全国タクシー』で、日本のタクシー業界はどう変わった?

日本のタクシー業界のIT化への意識を高めるきっかけにはなっていると感じています。

提携するタクシー会社が一同に介する会でも、「Uber」の存在に危機感を持つ声が多くあったんですが、「具体的になにをやればいいか分からない!」といった状態だったんです。もともとタクシー業界はITとは縁遠い業界でしたので(笑)。

急速なIT化を求められる業界の中で「他のタクシー会社でも使える」を設計思想として、賛同していただけるタクシー会社に門戸を開く『全国タクシー』は、タクシーIT化のプラットフォームになれる可能性があると感じていますね。

― やはり「Uber」の影響が大きいんですね。

日本でも国土交通省が発表している通り、目的地の違う利用客を相乗りさせる“タクシーシェア”を実証実験をする動きがありますし。

タクシーの相乗りには、JapanTaxiとしても積極的に取り組んでいきたいと考えています。

― 「Uber」の参入を有利にする相乗り合法化に肯定的とは……正直意外でした。

タクシーのIT化を目指すJapanTaxiとしては、テクノロジーを活用し、ヴィジョンである「移動で人を幸せに」を実現するべく、邁進していきたいと考えています。

ユーザーにとって良い体験を与えるテクノロジーは、我々もどんどん取り入れるだけ。そうしたスタンスの中で、「日本交通」を始めとする、タクシー会社の強みであるオペレーションや接客にITを注入しようと考えています。

― 相乗りタクシーが合法化されたときに、期待していることは?

合法化とともにタクシーが低価格で利用できるため、現状のメインユーザーの30代だけでなく、より幅広い層に利用してもらえると期待しています。

ですが相乗りするパートナーとの安全性など、まだまだ課題が見えない部分が大きくて……。2017年の冬に実施されるであろう「相乗りタクシーの実証実験」に参加して、官民一体で課題をあぶり出すことが具体的な最初の一手と考えています。

あと実証実験と言えば、現在「事前確定運賃サービス」の実証実験に参加しています。

― 「事前確定運賃サービス」とは何ですか?

「事前確定運賃サービス」は簡単に言うと、タクシーを配車する前に目的地までの運賃を確定できるものです。

もともとタクシー利用客の中には「お金がいくらかかるのか?」という不安が根強くあって……。そうした心理的障壁をなくすためにも、「事前確定運賃サービス」実証実験への参加に至りました。

▲事前確定運賃サービスは、「今すぐ呼ぶ」から目的地を設定し、ネット決済で運賃3000円以上の配車を日本交通で行う場合に利用できる。

― 事前確定運賃サービスを利用しない方が安い場合ってありますか?

国が定めた「事前確定運賃と実際のメーター運賃の誤差は数%以内にとどめる」といったガイドラインに沿っていますが、現在は実証実験中なので「事前確定運賃の方が100%安い」とは言えないですね。

ですが日本交通では、9/4から事前運賃確定サービスを利用したユーザーを対象としたクーポンキャンペーンを実施しています。

― どんなキャンペーンなんですか?

新たにネット決済の登録をした方を対象に「“今すぐ呼ぶ”から降車場所を入力して、日本交通のタクシーの配車」でスタンプ1個、「事前確定運賃の利用」利用でスタンプをさらに1個。一度の利用で最大2個のスタンプが貯められる、ちょっぴりお得な内容にしました。

▲キャンペーン期間の「2017年9月4日~10月1日」にスタンプを5個&10個集めると、クーポンを獲得できる。その他、サプライズクーポンもあるとか。

『全国タクシー』は、10人に1人が使う「国民的アプリ」へ

― 『全国タクシー』が目指す姿はどういったものですか?

おこがましいのですが、「国民的アプリ」になりたいと思っています。それこそ「タクシー乗るなら全国タクシー」って、どんな人でもすぐイメージできるくらいに。

そのためにもタクシー業界IT化のプラットフォーマーとして、パートナーさんとの提携や「JapanTaxi Wallet」のような自社の機能開発を積極的に行っていきたいです。そして3~5年後には、日本の有職者のうち10人に1人……約600万人に使っていただけるサービスとなり、国民的アプリに近づければなと考えています。

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この記事を書いたライター

ちゃんく

大学では建築を専攻していたはずが、いつの間にかライターに……。好きなものは、ラーメン、音楽。あと、アプリだとカメラと出会いはよく使っているとか……。