子どもがいるご家庭での毎日の食事。大人の場合とは違った気遣いが必要になるのかなど、気になることも多いと思います。

本記事では、子どもの健康を意識した食生活について考えながら、具体的にどのようなことに気をつけたら良いか解説していきます。

まず今回は基本編として、主に栄養面を中心に子どもの食生活についての基礎知識をおさらいしましょう。

著者
庭乃 桃( 料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士)

東京大学大学院修了。料理家として「おいしい」をとりまくさまざまな食文化や食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発、食関連の執筆、講演など多方面で活動中。

【レシピ開発(敬称略・順不同)】
欧州連合(EU)、日本私立学校振興・共済事業団、株式会社カーブスジャパン、岩谷産業株式会社、カリフォルニアくるみ協会、全国かまぼこ連合会(現・一般社団法人 日本かまぼこ協会) ほか。

【コラム執筆(敬称略・順不同)】
カリフォルニアくるみ協会、ホットペッパーグルメ 食を楽しみたい人のグルメ情報マガジン『メシ通』、レシピサイトNadia、食ZENラボほか。

【著書】
『おいしく世界史』(柏書房)

【テレビ出演】
NHK「ひるまえほっと」

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子どもの健康を意識した食生活とは?

幼児期を終えた6~12歳頃の学童期の子どもは、食生活の内容がこれまでとは大きく変わる傾向にあります。小学校に通い始めて生活スタイルが変わり、食べられるものが増えて、大人とほぼ同じような食事をとることができるようになるからです。

また、乳歯が永久歯に生え替わり、全身の骨格にも著しい成長が見られるなど活発に運動する機会も増えていきます。

しかしその一方で、塩分や脂肪分、糖分のとり過ぎなど、栄養バランスの偏った食事や不規則な食事時間、朝食を食べない、早食いなどの生活習慣により、心身への負担や、肥満や過度のやせといった問題も低年齢化しています。

子どもの頃の食生活は、その後大人になってからの食習慣や体質にも影響を与えるため、将来の生活習慣病を予防し、心身の健康を保つためにも特に注意を払う必要があると言えます。

農林水産省「『第4次食育推進基本計画』啓発リーフレット

出典:農林水産省「『第4次食育推進基本計画』啓発リーフレット

また、この時期の食体験は、将来、自分らしい食生活を築く上でもとても重要です。

「生きる力」を育むためには、栄養面を気にするだけでなく、食そのものへの興味を高めたり、食事の時間を家族でのコミュニケーションの機会として活用するなど、「食べる力」や食事そのものを楽しむ気持ちを育てることが大切だと言われています。

意識したい栄養素

まずは、子どもの食生活で日頃から特に意識しておきたい栄養素についてみておきましょう。

いずれも現代の子どもの生活スタイルのなかでは比較的不足しがちとされているものです。

エネルギー

エネルギーは身体を動かす上で欠かせないものです。摂取量と消費量のバランスが崩れると、肥満や過度なやせにつながります。

厚生労働省「成長曲線を描いてみましょう」

出典:厚生労働省「成長曲線を描いてみましょう」

成長期にある子どもの場合は、大人とは異なり、一日にどれくらいのエネルギーをとるのが最適か(推定エネルギー必要量)を決定するのは比較的難しいと言われています。

子供の発育にはかなりの個人差があるだけでなく、短期間のうちに変動することもあるためです。そこで基本的には、上記のような成長曲線(身体発育曲線)に照らした体重管理がひとつの目安となります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

また、「日本人の食事摂取基準」(2020年度版)には、参考資料として上記のような値が掲載されています。

まずはそれを参考に、個々人の状況に合わせて調整しつつ、食事を抜かずに規則正しく食べることを心がけましょう。

たんぱく質

たんぱく質は、身体をつくる血や肉のもととなるものです。内臓や皮膚、骨や歯など、体のあらゆる組織の材料となるだけでなく、体を動かすエネルギー源にもなります。

たんぱく質を構成するアミノ酸には、成長ホルモンの分泌を促したり、代謝に関わる酵素や免疫物質をつくる働きがあるため、成長期には大人以上にしっかりと意識して摂る必要があります。

なかでも必須アミノ酸と呼ばれる9種のアミノ酸は食事からしか摂ることができないため、肉や魚、大豆製品など、たんぱく質を含むさまざまな食品をとり入れるのがおすすめです。

ミネラル(カルシウムと鉄)

成長期の子どもに特に不足していると言われているのが、カルシウムと鉄です。

カルシウムは骨や歯をつくる上で欠かせない栄養素として知られていますが、ほかにも心臓や脳、消化機能、細胞、ホルモンなど、体のさまざまな機能の調節に関わっています。

その貯蔵庫となるのが骨なので、この時期にしっかりカルシウムを摂取して骨を育てることが大切です。

一方、鉄は不足すると、めまいや立ちくらみ、倦怠感などを引き起こすほか、集中力が落ちたり朝起きられないなど、日常生活や学業に支障をきたすこともありえます。

特に成長期は急激な体の発育により鉄が不足しやすくなるので、日頃から鉄分を多く含む肉や魚介類、緑黄色野菜などさまざまな食品から意識的に摂るように心がけましょう。

子どもの食事

心身ともに健康的な毎日を送るためには、子どもの時期から生活のリズムを整えておくことが大切です。

特に小学生の頃は、その後ピークを迎える成長期の準備段階。食事をできるだけ規則正しくとって生活習慣を整えましょう。

朝食

一日の始まりにとる朝食は、脳と体を目覚めさせ、寝ている間に失った水分や栄養分を補う大切なものです。

食事により代謝を上げて、下がっていた体温を上昇させると、頭もすっきりして元気に一日を過ごすことができます。

逆に朝食を抜くと一日に必要な栄養素もとり切れなくなってくるので、こちらの記事なども参考に簡単にでも食べていく習慣を身につけましょう。

朝食の重要性について知りたい人はこちらの記事もおすすめ

新生活で自炊を始めた人へ 「バランスの良い食生活」応用編

給食

農林水産省「給食はバランス食の見本」

出典:農林水産省「給食はバランス食の見本」

学校給食は、子どもの食事の栄養バランスを整える上で大変役立ちます。

基本的には一食で一日に必要なエネルギー量の約3分の1がとれるよう設定されており、栄養バランスの整った献立になっているからです。

逆に給食のない日は栄養不足になりがちなので、おやつなどで補えるように工夫しながらバランスを考えると良いでしょう。

おやつ

農林水産省「親子で一緒に使おう!食事バランスガイド」

出典:農林水産省「親子で一緒に使おう!食事バランスガイド」

おやつは、食べるタイミングと量にさえ気をつければ子どもの不足しがちな栄養素を補うことができます。

魚肉ソーセージやチーズ、牛乳、きなこなど、不足しがちなたんぱく質やカルシウムを含む食品を選ぶのもおすすめです。

いずれも、食べ過ぎたり時間を決めずにダラダラと食べてしまうと、食事をしっかりとれなかったり生活リズムが乱れる原因にもなるので、上記を目安に加減するのがポイントになります。

コミュニケーションとしての食

平成17年に食育基本法が制定されて以降、大人になってからの食生活の基盤となる子どもの食生活にも大きな関心が払われるようになりました。

食生活と健康との関わりは、実は栄養面だけで語れるものではなく、食そのものへの興味や関心、食事時間を楽しむこと、自分に合った食のスタイルを選びとることなど、さまざまな要素から成り立っていると言えます。

外食や中食の活用

家庭でいえば、子どもと一緒に料理をしたり、食事をしながら会話を楽しんだりすることも立派な食育です。

時には外食をしたり、出前やテイクアウト、宅配弁当などを利用するのもコミュニケーションの機会をつくるきっかけになります。お互い時間や気持ちにゆとりを持ちながら、いつもとは違ったメニューや味を一緒に楽しむことで、五感が刺激され、食に対する子どもの意識を高めることにつながるからです。

成長に必要な栄養素を摂るだけでなく、「楽しく食べる」こと。それが健康な子どもの食生活にはなくてはならないものなのです。

【応用編】では、外食や中食時に気を付けるべきこと、宅配弁当に対する疑問にも回答しています。

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