ドイツで人気のボードゲームのタイトルを紹介。ボードゲーム選びは、人数や時間など目的に合った作品を選ぶのが重要です。
実はドイツはボードゲーム大国で、休日の過ごし方として子どもから大人まで夢中になって遊びます。現地にいる筆者の友人は「ゲーム」といえばまずボードゲームを連想するとか(彼はチェスがとても得意でした)。
そこで今回は2020年の「ドイツ年間ボードゲーム大賞」にノミネートされ、国内で高い人気を獲得したおすすめ作品を10作品を紹介していきます。
【ボードゲーム】ドイツで人気のおすすめタイトル10選 人気作や新作を厳選
最終更新日:2021年02月02日
ボードゲームの選び方
ポイント1:プレイ人数
購入する際には、ボードゲームを誰と何人で遊ぶのかを把握しておきましょう。基本的には3,4人で盛り上がる作品が多いのですが、作品を選ぶ際には最低人数に目を向けましょう。とりあえず2人から遊べる作品であれば、人が集まらなくても遊べます。
こちらの記事もおすすめ
ポイント2:プレイ時間
ボードゲームは時間ごとで「軽量級」「中量級」「重量級」と分けられています。本記事ではおすすめのタイトルを表のように分けているので、参考にしてみてください。
名称 | プレイ時間 |
---|---|
軽量級 | 30分未満 |
中量級 | 30分~1時間 |
重量級 | 1時間~ |
こちらの記事もおすすめ
ポイント3:遊ぶ場面(シーン)
家族で遊ぶのか、友人と遊ぶのか、恋人と遊ぶのか。TPOをわきまえろとよく言われますが、ボードゲームにもそれぞれの場所に適したゲームがあります。
例えば飲み会の席で遊ぶのであれば、多人数で遊べて場所を取らずルールが簡単なゲームがおすすめとなっています。
こちらの記事もおすすめ
ボードゲームのジャンル
主なボードゲームジャンルまとめ
ボードゲームを遊ぶ時に、よく耳にするジャンルをまとめました。ジャンルを厳密に分けることは難しく、表にあるものが全てではないので注意しましょう。
ジャンル名 | 内容 | 代表作 |
---|---|---|
アクション | ゲームのアイテムに物理的な刺激を加えたり、身体を使って表現したりするゲームを指す。バランスゲームもここに入る。 | 『ジェンガ』、『ワードバスケット』など |
アブストラクト | 一切の運が絡まず、情報はすべて公開されていて、思考力が試されるゲームを指す。 | 『チェス』、『将棋』など |
拡大再生産 | 元は経済学用語。資源やお金を貯めて最初は買えなかった物を購入したり、最初はできなかったことができるようになるゲームを指す。 | 『カタン』、『ドミニオン』など |
記憶 | 文字通り記憶力を試すゲームを指す。一番有名なもので言えば、トランプの神経衰弱。 | 『ラブレター』、『3人の魔法使い』など |
協力 | プレイヤー同士で協力して進めていくゲームを指す。枠としては広すぎるため、他のジャンルと併せて表記されることが多い。 | 『パンデミック』など |
正体隠匿 | 自分の正体を隠したままゲームの進行を通して、他プレイヤーが敵か味方かを探っていくゲームジを指す。 | 『人狼ゲーム』、『お邪魔者』など |
陣取り | 自分の領地を広げていき、その大きさを競うゲームを指す。 | 『カルカソンヌ』、『ブロックス』など |
すごろく系 | サイコロを振ってゴールを目指すゲームを指す。パーティーゲームのイメージが強いが、ゲームによっては戦略性が高いものも。 | 『人生ゲーム』、『モノポリー』など |
競り | オークション形式でゲーム中のアイテムを購入するゲームを指す。 | 『電力会社』、『ラー』など |
タイル配置 | 一定の制限がある中でタイルを配置していくゲームを指す。 | 『テラフォーミングマーズ』、『枯山水』など |
ドラフト | 主にカードゲームのジャンル。プレイヤー間でカードを回しながら、自分の欲しい物を取っていくゲームを指す。 | 『あやつり人形』、『十二季節の魔法使い』など |
表現 | 配られたアイテムを使って言葉を考えたり、ジェスチャーやイラストを使ってお題を表現するゲームを指す | 『キャット&チョコレート』、『ito』など |
ブラフ | トランプのポーカーを始めとした、嘘とハッタリを使って相手を出し抜くゲームを指す。 | 『ごきぶりポーカー』、『コヨーテ』など |
レガシー系 | 一度情報が開示されてしまうと楽しめなくなってしまうものを指す。 | マーダーミステリー全般 |
ワーカープレイスメント | 実行したいアクションにコマを配置するなどして、プレイヤー同士で行動を制限するゲームを指す。 | 『アグリコラ』、『プエルトリコ』など |
今回のドイツ年間ボードゲーム大賞の受賞・ノミネート作品は「レガシー系」が多く選ばれていました。世の中にたくさんの「ゲーム」が溢れている現代では1つのボードゲームを繰り返してプレイすることは少なく、「1回しか遊べない楽しさ」が重視されているようです。
また目新しいシステムというのは少なく、基本的には「タイル配置×アブストラクト」のように既存のジャンルを組み合わせたゲームがノミネートされていました。
ドイツで話題のボードゲーム10選
ドイツで話題のボードゲーム一覧
- ピクチャーズ
- マイ・シティ
- ノヴァルナ
- リトルタウンビルダーズ
- ザ・クルー
- カートグラファー
- キングスジレンマ
- スピーデイーロール
- フォトフィッシュ
- ぼくたちロボット
ピクチャーズ【ドイツ年間ボードゲーム大賞2020受賞作品】
ドイツ年間ボードゲーム大賞2020の大賞作品。1枚の写真に描かれたものを、指定された道具を使って表現するボードゲーム。使えるものは靴紐や石、色のついたキューブなど。
身近にありそうなものを使って表現する、というのが斬新で「ごっこ遊び」で木の棒を剣に見立てて振り回していた幼い頃を思い出す。
ボードゲームは親子でやるとどうしても大人の方が強くなりがちだが、今作は想像力豊かな子どもの方が有利になり得るのが珍しい。
対象年齢 | 8歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 3~5人 |
プレイ時間 | 30分 |
ジャンル | 表現 |
マイシティ
2020年ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品。デザイナーは『ラー』や『王と道化』で有名なライナー・クニツィア(Reiner Knizia)氏。
ルールそのものは『カルカソンヌ』のように、めくったタイルを配置するだけのゲーム。しかしジャンルに「レガシー系」が含まれているように、このゲームはストーリーモードを進めていくのが楽しい。
ストーリーモードを進めていくと徐々にルールが追加されていき、その過程を追体験することでまるで自分がゲームの開発者になったかのような気分が味わえる。
対象年齢 | 10歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 30分 |
ジャンル | タイル配置・レガシー系 |
ノヴァルナ
ドイツ年間ボードゲーム大賞ノミネート作品。タイル配置のゲームにアブストラクトの要素が混じった、やり込めるタイル配置型ボードゲーム。「新月(ノヴァルナ)」を意識した、月齢表を盛り込んだ月時計ボードが美術絵画のようで美しい。
ゲームとしてはめくったタイルを配置していき、そこに書かれたタスクの完成を目指してタイルをさらに配置していくというもの。
対戦というよりはパズルとしての側面が強く、妨害要素も少ないためじっくりゲームに集中することができる。
対象年齢 | 8歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 1~4人 |
プレイ時間 | 約30分 |
ジャンル | タイル配置・アブストラクト |
リトルタウンビルダーズ
ドイツ年間ボードゲーム大賞の推奨作品。惜しくもノミネートまでは辿り着かなかったが、なんとこの作品は日本で作られて『Little Town』というゲーム名でドイツに逆輸入された作品である。
ゲームとしては『アグリコラ』をもっとシンプルで2人からでも遊べるようにした作品。「ワーカープレイスメント」というゲームジャンルはどうしても難しいゲームになりがちであるが、それを小さい子どもでも遊びやすいようにまとめてあるのがグッド。
どうしても敷居が高くなりがちな中量級ゲームだが、このゲームはプレイ時間が短く非常にとっつきやすいため、初めて買う作品におすすめ。
対象年齢 | 8歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 30分 |
ジャンル | ワーカープレイスメント |
ザ・クルー【ドイツ年間エキスパートゲーム大賞2020受賞作品】
ドイツ年間エキスパートゲーム大賞2020受賞作品。エキスパート大賞というのは、ボードゲームに慣れた中上級者向けのボードゲームから選定される賞のこと。
カードに記載されたミッションを仲間同士で協力して達成していくカードタイプのボードゲーム。宇宙服に身を包んだプレイヤーたちは、会話でコミュニケーションを取ることができない中でカードを出し合っていく。
ミッションは全部で50個用意されており、一部のミッションはルールそのものが変更される。ビデオゲームのRPGのように、進むごとに難易度が上がっていく仕様。
1ミッションは20分だが、全部のミッションをクリアしようとするとかなりの長丁場になるので注意。
対象年齢 | 10歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 2~5人 |
プレイ時間 | 20分 |
ジャンル | トリックテイキング※・協力型 |
カートグラファー
ドイツ年間エキスパートゲーム大賞2020にノミネートされた作品。カードをめくって、用意されたメモに地図を書き込んでいく「紙ペンゲーム」と呼ばれるタイプのボードゲーム。
春~冬までの4つの季節に分かれており、各シーズンごとの勝利条件を満たすように地図を書き込んでいく。途中で相手の地図に邪魔なマスを書き込むことができ、妨害とポイント獲得のバランスが重要。
最大100人まで遊べるというゲームで、ビンゴ感覚のパーティーゲームとして楽しめる。
※2021年2月2日現在、日本語版は開発中で輸入品のみ購入可能。
対象年齢 | 10歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 1~100人 |
プレイ時間 | 30~45分 |
ジャンル | 紙ペンゲーム |
キングスジレンマ
ドイツ年間エキスパートゲーム大賞2020ノミネート作品。ストーリーと投票システムを組み合わせたTRPGライクなボードゲーム。担当する領地の設定をしっかり読み込んで置くことで、ゲームを有利に進められる。
プレイヤーは封建国家の評議者の一人となり、政策を選択して物語を進めていく。勝利条件はプレイヤーごとに異なり、激しく衝突することがあれば友好的な関係を築いていくことも。
レガシー系とある通り、基本的には一回の遊びきりが推奨。自分の選択によって大きく物語が変わっていくのは、アドベンチャーゲームをプレイしているようで面白い。
対象年齢 | 14歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 3~5人 |
プレイ時間 | 45~60分 |
ジャンル | 正体隠匿・競り・レガシー系 |
スピーディーロール【ドイツ年間キッズゲーム大賞2020受賞作品】
ドイツ年間キッズゲーム大賞2020受賞作品。ダイスではなく、ボールを転がして進んでいくすごろく系のボードゲーム。
ボールを転がして、木の葉やきのこなどのトークンをくっつけて対応したマスを進んでいく。くっつけるトークンが少ないと全然進めないが、5個以上くっつけてしまってもアウト。ボールの転がし方が勝利の鍵になる。
物理学的な完成が養われるため、知育ゲームとして子どもに買ってあげたい作品。
対象年齢 | 4歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 1~4人 |
プレイ時間 | 約20分 |
ジャンル | アクション・すごろく系 |
フォトフィッシュ
ドイツ年間キッズゲーム大賞2020ノミネート作品。クリアフィルムの「小窓」がついたカメラフレームで、マップ上の魚を素早く見つけるボードゲーム。
大人だと俯瞰して魚のボードを見渡せてしまうので、小さな子ども向き。フィルムを通して魚たちを探すことで「宝探し」のようなワクワク感が味わえる。
対象年齢 | 4歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 15分 |
ジャンル | アクション |
ぼくたちロボット
ドイツ年間キッズゲーム大賞2020ノミネート作品。かなり独特なゲームで、スタート地点からゴールまでの距離を親のプレイヤーが2回のホイッスルする(出発とゴールまでの時間を音の間隔だけで伝える)というもの。
例えばかたつむりで長距離なら間隔は長め、ロケットで短距離なら間隔は短め、など。距離感は人によって違うため、正解に近づけようとするのは大人でも難しい。
「相手の目線で物事を考える力」と「想像力」が試される、家族で遊んで楽しいボードゲーム。
※2021年2月2日現在、輸入品のみ購入可能。
対象年齢 | 5歳以上 |
---|---|
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 20分 |
ジャンル | 表現 |
ボードゲームは目的にあったタイトルを遊ぼう
「ボードゲーム」と一言でまとめても、卓上のアクションゲームやパズルゲーム、会話中心のパーティーゲームなど多種多様に分けられます。周囲の環境や好きなジャンルも考慮して、長く遊べるボードゲームを購入しましょう。
こちらの記事もおすすめ
紹介する人:たつみち
TOPICSのボードゲーマーライターで、プレイ歴は8年。最初にハマッた作品は『ドミニオン』。
元々TRPG沼に浸っており、大学時代にボードゲーム沼にハマる。現在は自力でカードゲームを開発するなど、クリエイティブに活動中。