【新型N-BOX】車のプロが試乗して解説!新・旧モデルの徹底比較と進化のポイント
2024.02.21
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もくじ
8年連続で軽自動車ナンバー1のベストセラーに輝くホンダ「N-BOX」がフルモデルチェンジを行い、3代目モデルへと切り替わりました。シャシーもエンジンも2代目モデルからのキャリーオーバーで、派手なトピックの少ない新型N-BOXですが、果たしてベストセラーはどこまで進化しているのでしょうか。
2023年10月中旬に横浜で開催されたメディア向け試乗会で、新型N-BOXを体感した車の専門家・馬弓良輔さんに、現物をじっくりチェックして感じた新型N-BOXの進化と、旧型N-BOXとの比較をレポートしていただきました!
自動車マガジン編集者:
馬弓 良輔
「じゃらん」副編集長、「エイビーロード」編集長などを経て、2005年から2009年まで中古車情報誌「カーセンサー」の編集長に就任。その後、楽天市場自動車ジャンル責任者などを務め独立。現在も車選びとカーライフを応援するWebメディア「カルモマガジン」編集長を務めるなど、自動車メディアの編集者として活躍。
【この記事でわかること】
✔新型N-BOXの進化
✔試乗した車の専門家による新型N-BOXと旧型N-BOXの比較
✔新型N-BOXと旧型N-BOXのどちらを選ぶべきか
新型N-BOXは実力ナンバー1を維持しているのか?
軽自動車のみならず、日本の乗用車の「絶対王者」であるホンダ「N-BOX」がフルモデルチェンジを行い、3代目モデルが登場した。初代から2代目になったときはシャシーもエンジンも全面刷新して、その太っ腹ぶりに驚かされた。
しかし今回の新型N-BOXは、改良が加えられているとはいえ、シャシーもエンジンも2代目モデルからのキャリーオーバーである。いずれ近いうちに「スペーシアギア」のようなクロスオーバーモデルが追加されるのは濃厚とはいえ、EVモデルはもちろん、マイルドハイブリッドなどの採用もなく、また、外観もキープコンセプトと、少々話題性に乏しいのは事実だろう。
派手なトピックこそ少ない新型N-BOXだが、その仕上がりにホンダ関係者は自信満々な様子だ。果たしてベストセラーはどこまで進化しているのだろうか。
N-BOXらしさを受け継ぎつつ、シンプル&クリーンになった外観
新型N-BOXは、丸目のヘッドライトと小さな丸い穴が開けられたグリルが特徴的な標準車と、横一文字のデイライトも精悍なカスタムの2種類のモデルがあるのは従来通り。
旧型N-BOXには2020年のマイナーチェンジの際、標準車とカスタムに「コーディネートスタイル」が設定されていたが、新型N-BOXも標準車にはミラーやドアノブ、ホイールカバーに白色パーツをあしらった「ファッションスタイル」、カスタムにはシート、ステアリングの素材がアップグレードされ、さらに内外装にダーククロームパーツが追加された「コーディネートスタイル」という別仕様がそれぞれ設定されている。
新型N-BOXの外観デザインは、「だいたいの形」は歴代のN-BOXを受け継いでいる。サイドから見たときの窓の大きさやルーフの厚みといった部分の比率にN-BOXの「黄金比」があるのだと、デザイナーが言っていた。
そのおかげで大まかな印象はN-BOXそのもの。しかしサイドウインドウ後部の処理や、リアコンビネーションランプのデザインによって、初代モデルが持っていたクリーンさを取り戻したように感じる。
カスタムもダイハツ「タント」やスズキ「スペーシア」とは一線を画した、精悍ではあるがオラオラ感の薄いフロントデザインだ。ちなみにジャパンモビリティショー2023でお披露目された新型「スペーシアカスタム」プロトタイプのフロントデザインも、予想に反してオラオラ感は控えめだった。マイナーチェンジでオラオラ系に回帰した「タントカスタム」が漁夫の利を得るのだろうか。
ゆとりを増したインテリア、特に後席の居心地が良い
外観とは一転して、インテリアの印象はかなり変わった。メーターはステアリングを通して見ることができるインホイールタイプになり、ダッシュボードがフラット化されたおかげで、最近のホンダ車がこだわっている前方視界の良さを実現している。
運転席からフロントウインドウまで距離があるスーパーハイトワゴンやミニバンの一部には、交差点で停止した際に信号機の確認がしにくいモデルもあるが、N-BOXは問題ない。
運転席周りで唯一、気になったのは、ステアリングに上下方向を調整するチルト機能はあるものの、前後方向へのテレスコピック機能がないこと。同門の「N-WGN」にはあるのになぜ?と開発者に聞いたところ、N-BOXは着座位置の関係でテレスコを入れると、そのままではステアリングとの最低距離が確保できず、大幅な設計変更が必要となるので簡単には追加できないそうだ。
スーパーハイトワゴンの室内空間は、N-BOXに限らずどれも驚くほど広い。その中にあっても新型N-BOXは特に後席でゆとりを感じる。室内空間の四隅が丸いラウンド感のあるデザイン、そして後席ショルダースペースを55mm拡大したことが効いているのだろう。
ホンダご自慢のセンタータンクレイアウトの数少ないネガの一つである前席下への足入れスペースも、着座位置の高いN-BOXではさほど気にならない。そもそも大きくスライドする後席を一番後ろにすれば、前席シート下を気にするまでもなく足元の余裕は驚くほどある。
角度は少ないものの、リクライニング時に座面が連動するのも良い工夫だ。シート自体は評価の高いホンダ「フィット」ほどの出来ではないものの、表面がソフトで包み込み感の演出はなかなかのものである。
万能感のあるカスタムのターボモデルの走り
旧型N-BOXの走りの良さは折り紙付きだったが、新型の仕上がりはそれ以上だ。特に今回はカスタムのみに設定されたターボエンジン搭載モデルの完成度が高い。
十分なパワーを低回転からレスポンスよく発揮するターボエンジンは、低回転域でこそ3気筒らしいゴロゴロ感が残るものの、7,000回転オーバーまでスムーズに回る。さすがホンダ製パワーユニットだ。これ一台で近所へのお買い物からちょっとした遠出までこなせる万能感がある。
高速で重宝するアダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線維持支援システム(LKAS)の制御がより滑らかになっているのも、万能感をアシストしている。
旧型N-BOXの走りで特に評価が高かったのは、CVTのダイレクト感と、しなやかで懐深さを感じさせた乗り心地だった。新型N-BOXはアクセルのオンオフ時などでスムーズさを増したCVTもさることながら、特に乗り心地に「良いもの感」が増している。
フロアカーペットに遮音シートを追加したこともあって静粛性の向上も著しく、特にカスタムはルーフライニングにも吸音シートが追加され、ロードノイズや段差を乗り越える際の音が明らかに少ない。15インチタイヤの空気圧設定が220kPaと低めに設定されていることも含めて、バネもダンパーもスタビも固められているはずのカスタムターボの乗り心地の良さに寄与しているのは間違いない。
街乗りがメインであれば標準モデルで十分
NAエンジンの標準モデルは、ターボエンジンに比べてしまうと加速時にやや回転を上げがちだが、街中を走る分には十分なパワーがある。ターボエンジン以上に高回転までキレイに回るエンジンは、これまたさすがホンダとしか言いようがない。
ただ、試乗車だけかもしれないが、軽くアクセルを踏んだときや低速域での減速時に時おりスムーズさを欠くCVTの制御には違和感があった。乗り心地も14インチタイヤの空気圧がカスタムより高いこと(とはいえ前240、後230と標準的ではある)が影響しているのか、細かい振動がターボよりも気になった。
ほかの試乗車に乗った知り合いの評論家は、筆者とは逆に標準モデルのスムーズなCVTとしなやかな乗り心地を絶賛していたので、このあたりは初期モデル特有のばらつきなのかもしれない。
走りは軽スーパーハイトワゴンで間違いなくナンバー1
軽自動車のスーパーハイトワゴンで一番走りが良いモデルはどれか、という問いに対して、これまで専門家の意見はN-BOX派とタント派に二分されていた。乗り心地重視の人はN-BOX、操縦安定性重視ならタント、という印象だ。
筆者は断然N-BOX派だが、確かにタントの回頭性の良さとロールの少なさはN-BOXよりも上だった。それを意識してか、新型N-BOXは新機軸の舵角センサーを採用し、反応のリニアさや微小舵角での不感帯などを改善したとアナウンスしている。
その甲斐あって新型N-BOXのステアリング特性は適度な重さとシャープさを獲得し、キビキビとまではいかないが極めてナチュラルである。
電動化・EV化の流れがどこまで進むのか見通しがつかない昨今の情勢下で、多くの人に支持されているベストセラーのN-BOXが大きく舵を切りにくいのは理解できる。基本は先代からのキャリーオーバーとしながらも、エンジン良し、トランスミッション良し、乗り心地良し、そして操縦安定性も良し。新型N-BOXの走りはライバルひしめく軽スーパーハイトワゴンにあって、燃費を除けば間違いなくナンバー1だ。
旧型モデルと比較した新型N-BOXの進化ポイントはココ!
左が旧型、右が新型(写真:ホンダ)
キープコンセプトで登場した新型N-BOXは旧型と比べてどこまで進化したのか。外観、内装、使い勝手、走り、安全装備、そして価格まで、気になるポイントごとに新旧モデルを比較してみよう。
【外観】よく見ると新しい。特に後ろからは初代との共通性がある
評判の良いベストセラーだけに、基本的なシルエットはN-BOXらしさを受け継いでいる。横から見たときのルーフの厚みやウインドウエリアの割合を初代からほとんど変えていないことが、ユーザーが見たときのN-BOXらしい安心感を与えているとホンダは説明する。
ヘッドライトやテールランプの処理はシンプルかつクリーンな意匠となって、2代目よりは初代に近い印象だ。特にテールランプのデザインは2代目 N-BOXが登場した頃に流行っていたボリューム感のあるものから決別した。旧型トヨタ「プリウス」や旧型日産「セレナ」も似た系統のデザインが不評で、のちのモデルでは同じように改められている。
【内装】ラウンド感のあるデザインで和める空間に
外観に比べてインテリアの印象はかなり変わった。ちょっとごちゃついた印象のあった旧型に比べると、新型N-BOXは車内の四隅を丸く処理したラウンドデザインによって包まれ感がある。
最近のホンダは視界の良さにこだわっているが、新型N-BOXもメーターが液晶化されダッシュボードがフラットになったことなどによる前方視界の改善は特に実感しやすい。
旧型後期に設定された「コーディネートスタイル」は新型にも継承されている。そもそも今回の標準車の内装テイストは「コーディネートスタイル」ぽい色使いだ。標準車には外観にホワイトをあしらった「ファッションスタイル」、カスタムには内外装をアップグレードした「コーディネートスタイル」が設定されている。
【使い勝手】多彩な後席シートアレンジに加えて細かな改良が盛りだくさん
収納の多さ、シートアレンジの豊富さはスーパーハイトワゴンのどれもが工夫を凝らしているポイントであり、新型N-BOXもまた例外ではない。
ホンダならではのリアシートの多彩な折りたたみ方法など旧型の美点は受け継ぎつつ、スライドドアの予約ロック機能、スライドドア開口部に子供やお年寄りが掴みやすい乗り降りらくらくグリップ、中央部に配置した上で70mm下に下げたテールゲートハンドルなどの改良が加えられている。
【走り】評価の高かった旧型からさらにレベルアップ、特に静粛性の向上が著しい
2代目でもN-BOXがライバルに対して優位だった走りの良さは、さらにアップグレードされている。ただし旧型N-BOXのレベルが高かったので、飛躍的に良くなったというレベルではない。
低回転から自然にトルクが立ち上がるターボエンジン、キレイに回るNAエンジン、そしてダイレクト感のあるCVTの組み合わせは、さらにスムーズさを増している。乗り心地や操縦安定性など足回りも同様だ。
旧型N-BOXに比べて明らかに改善したのは静粛性で、特にカスタムはクラス標準を大きく超えている。一方で燃費についてはマイルドハイブリッドなど飛び道具の採用はなく、旧型同様に凡庸だ。
【安全性能】滑らかになった制御、車載通信にも対応
新しいカメラや画像処理チップの採用で、安全運転支援機能は最新版となった。追加された機能は「近距離衝突軽減ブレーキ」や「急アクセル抑制機能」など踏み間違い防止系の強化だが、全車速追従オートクルーズ(ACC)や車線維持支援システム(LKAS)など高速道路でよく使う機能の制御を改善し、ドライバーの感覚に合った自然なものとしている。
また、車載通信器を搭載し、緊急時のサポートからスマホと連動したサービスまでさまざまなコネクテッドサービスを利用できるようになった。
【価格】50,000円ほどのアップだが内容を考えると最低限に抑えた印象
新型N-BOXの価格は下記のように、標準車の164万8,900円からカスタムターボコーディネートスタイルのツートン&4WDの236万2,800円までとなっている。
旧型で設定されていた下位グレードが廃止されたため最低価格が上がっているが、同じような装備内容だった旧型のLと比較すると、大雑把に30,000~50,000円ほどの値上げとなる。ここまで説明してきた新型の魅力アップポイントを考えれば妥当な価格設定ではないだろうか。
新型N-BOXの本体価格
標準車:164万8,900円〜
標準車 ファッションスタイル:174万7,900円〜
カスタム:184万9,000円〜
カスタム コーディネートスタイル:205万9,000円〜
カスタムターボ:204万9,000円〜
カスタムターボ コーディネートスタイル:216万9,000円〜
(いずれも2WD車)
ちょっぴり高価になった新型N-BOXも、初期費用0円、維持費も込みの月額料金で新車に乗れる車のサブスク・カーリースなら負担を抑えて利用できます。
さらに「おトクにマイカー定額カルモくん」では、月額19,750円からN-BOXの新車に乗ることも可能です。
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新型か旧型か。自分にベストな選択をするには?
カスタムの新旧モデル。左が新型(写真:ホンダ)
新型N-BOXはやはり着実な進化を遂げていたが、旧型オーナーは買い換えるべきなのだろうか。また、流通量の増加が予想される旧型の中古車は狙い目なのだろうか。
新型N-BOXを買うべきは初代&旧型前期オーナー
新型N-BOXは走りも使い勝手も安全性能も、旧型よりレベルアップしているのは間違いない。ただし、初代から2代目への進化幅が大きかっただけに、基本ベースがキャリーオーバーされている今回の進化幅はそれなりだ。
初代N-BOXユーザーであるなら、新型N-BOXは間違いなく買いだ。走りのレベルアップはきっと実感できるし、先進運転支援は飛躍的に進化している。旧型オーナーも2020年のマイナーチェンジ前のモデルを所有しているのであれば、運転支援の進化の恩恵は十分にある。
一方で、マイナーチェンジ後のコーディネートスタイルや、2021年の一部改良後の電子制御パーキングブレーキを搭載した最後期のモデルを持っているのであれば、3〜4年後のマイナーチェンジまで待つ手もあるだろう。
旧型N-BOXユーザーに限らず軽スーパーハイトワゴンを検討している人には、現時点では新型N-BOXは間違いなくおすすめできる。すでに新型スズキ「スペーシア」の登場が予告されているが、そのほかのダイハツ「タント」、日産「ルークス」など、しばらく現行モデルが販売される車種より、新型N-BOXの方が多くの点で優れている。
気になる新型スペーシアについて現時点で判明しているのは内外装だけだが、燃費はおそらく、軽くてマイルドハイブリッドをもつスペーシアが上だろう。しかし雑貨スタイルをキープした新型スペーシアとN-BOXでは見た目の方向性が大きく異なるので、あまり迷うことはないかもしれない。
中古車流通量の増加が予想される旧型モデルはこれからが狙い目!
販売台数の多かったN-BOXだけに、新型への買い替えと同時に発生する下取り中古車の流通量がさらに増加するのは間違いない。狙い目は旧型になったばかりの、2代目の2020年のマイナーチェンジ以降のモデルだ。モデルチェンジに加えて最初の車検時期を迎えることもあって、それなりに流通量が増えるだろう。個性的な内外装のコーディネートスタイルなら特におすすめだ。
また、2代目モデルの届け出済み未使用車も、10月末時点では全国で100台ちょっと流通している。人気モデルだけに価格的な割安感はそれほどないが、年内であればある程度見つかる可能性が高い。コスパでいえば2代目の初期モデルだろう。走りの実力は初代より大幅にアップしているし、先進運転支援も今日的にまだ通用する実力の持ち主だ。
ベストセラーは変わらなくていい
新型N-BOXは着実な進化を遂げている。その幅は前述のように初代から2代目のときよりは小さいが、それでも多くの点でクラスナンバー1を確保している。新型N-BOXを開発するにあたって、ホンダの開発陣は多くのN-BOXユーザーにインタビューした結果、変わらないことを望まれていることに気がついたのだという。
そのカタチ、その走り、その使い勝手が多くの日本人に受け入れられている以上、N-BOXは変わらなくていい。かつてのフォルクスワーゲンゴルフがそうだったように。
新型か、旧型か。迷っているなら先に審査を受けてみて、予算を検討してみては?
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※この記事は2023年10月時点の情報で制作しています