【新型スイフト】車のプロが解説!新・旧モデルの徹底比較と進化のポイント
2024.02.21
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もくじ
2023年12月に5代目へとフルモデルチェンジしたスズキ「スイフト」。日本はもちろんヨーロッパでも人気が高く、これまで世界で約900万台が販売されています。最新モデルはどのような進化を遂げたのでしょうか。車の専門家である高橋 満さんにプロの目線からじっくり解説していただきます。
フリーエディター・ライター:
高橋 満
求人誌編集部、中古車情報誌編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。
【この記事でわかること】
新型スイフトはヨーロッパを見据えて走りの良さを磨いたベーシックコンパクト
▲新型スイフトのチーフエンジニア、小堀昌雄氏
日本市場向けのコンパクトカーは、エンジンルームを小さくして室内空間を広くし、ワンモーションフォルムに近い形状としたパッケージング性と燃費性能を高めたタイプが主流。そんな中、スズキ「スイフト」はこれまでオーソドックスな2ボックススタイルを貫いてきた。その意味で日本ではやや異端の存在とも言え、ライバルモデルの陰に隠れてしまっている感もある。
だが世界に目を向けると、スイフトはインドで乗用車販売首位に立った年もあるし、欧州市場でも走りが高く評価されている。それを証明するのがグローバルでの累計販売台数だ。
初代は海外で「イグニス」として販売されたため、「スイフト」となる日本での2代目から4代目を見ると、2004年から2023年までの累計販売台数はなんと約900万台に達する。参考までにトヨタ「ヤリス」(日本では2020年までヴィッツとして販売)の1999〜2023年の累計販売台数が1,000万台。日本では圧倒的にヤリスの販売台数が多いが、グローバルで見るとスイフトはヤリスと同等の人気を誇るモデルと言えるのだ。
そんなスイフトが通算5代目にフルモデルチェンジ。5代目スイフトは4代目からどこが変わったかを見ていこう。なお、スイフトのスポーツバージョンである「スイフトスポーツ」は今のところ4代目が継続販売されている。
外観は先代のイメージを踏襲しつつ、雰囲気は大きく変わった
ベーシックな2ボックススタイル、縦長のフロントライトなど、パッと見のデザインは先代を踏襲している新型スイフト。しかし全体の雰囲気は先代から大きく変わったと感じる方が多いはずだ。この効果をもたらしているのが、フロントのクラムシェル型ボンネットと、そこを起点にしてボディを囲むように走るキャラクターラインだ。
クラムシェルとは2枚貝のことで、ボンネットフードがボディに覆いかぶさるような形状になっていることを指す。ボンネットに折れ目が付けられたことで強度が高まる効果があるとともに、デザイン状のアクセントにもなる。先代は普通のボンネットだったが、新型はクラムシェル型ボンネットになったことで、上品な印象が与えられているのだ。
スズキは新型スイフトの開発にあたり市場調査を行ったところ、「スイフトはスポーティすぎて自分が乗る車ではない」と答えた方が多かったという。これはスイフトスポーツのイメージが大きく影響を与えていると思うが、スズキは新型スイフトでスポーティさを残しながらも、上品なイメージを感じさせる絶妙なところをついてきたように感じる。
フロントライト内にはL字型、リアコンビネーションランプ内にはコの字型のシグネチャーを配置。ボディサイズは全幅が1,700mm以内に収まる5ナンバーサイズだが、これらのライトによりワイド感が強調されているのが特徴だ。
ボディカラーは3層コートで質感を高めた「フロンティアブルーパールメタリック」と、緑がかったイエローでナチュラルなイメージが与えられた「クールイエローメタリック」という2色の新色を含めた全9色を設定。フロンティアブルーパールメタリックとバーニングレッドパールメタリックにはブラック2トーン、クールイエローメタリックとピュアホワイトパールにはガンメタグレー2トーンも用意されている。
立体的な造形で一体感を感じさせるインテリア
インパネからドアトリムにかけて翼のように広がるオーナメントが、新型スイフトのインテリアの特徴。ややグレーがかった白いオーナメントには三角形の3Dテクスチャーが施されて、同じ印象の柄がシートにもつけられている。これにより、インテリアデザインの共通性が与えられている。
エアコン操作部やナビ画面はブラック化されたことで、白いオーナメント内に黒いエリアが浮遊しているような印象になった。抑揚のあるインテリアの構成により、軽快さと先進性が表現されている。
フロントシートはサイドのサポート部が大きく取られたスポーティな形状。ヘッドレストは先代より高さと厚みが10mmアップしている。
インパネセンターのオーディオ、ルーバー、エアコンパネルはドライバー側に8度傾けられていて、運転席側のスイッチ類はドライバー側に3度傾けられている。これにより運転中の操作性が向上。自然に手を伸ばして操作できるようになっている。
メーターはタコメーターにシルバー塗装の2段リングを配置して、運転中も自然に視線が行くようにデザインされている。スピードメーターは220km/hまで刻まれたスポーティなものが搭載された。
新開発のエンジンとCVTを採用し、常用域での燃費性能が向上
新型スイフトには新開発のZ12E型エンジンを搭載。このエンジンは燃費性能を追求した高効率タイプ。排気量は1,197ccで、最高出力は60kW/5,700rpm、最大トルクは108N・m/4,500rpmになる。
エンジンのシリンダーヘッドは燃料と空気が効率的に混ざることで高速燃焼が可能になった。そして電動ウォーターポンプを採用するとともにインジェクターのレイアウトを見直して、異常燃焼を抑制している。
マイルドハイブリッドも量販グレードと上級グレードで搭載。量販グレードのハイブリッドMXにはCVT車だけでなく5速MTも用意。MT+マイルドハイブリッドの組み合わせはスズキでも初となる。
CVTは1.2Lエンジン用の高効率CVTを新採用した。トルクコンバーターに先代より低剛性化したダンパーを採用してエンジンからの回転変動を効率的に吸収できるようになった。これにより高い静粛性と燃費性能を実現。
燃費性能は以下のとおり。
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | WLTCモード燃費 |
---|---|---|---|
ハイブリッドMZ | 2WD | CVT | 24.5km/L |
4WD | 22.7km/L | ||
ハイブリッドMX | 2WD | CVT | 24.5km/L |
5MT | 25.4km/L | ||
4WD | CVT | 22.7km/L | |
XG | 2WD | 23.4km/L | |
4WD | 22.6km/L |
新開発のデュアルセンサーブレーキサポートIIを搭載、先進運転支援機能も最新版に
新型スイフトは、カメラの画角とミリ波レーダーの検知エリアが広げられた、新開発の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」を搭載した。検知エアリアが広がったことで、交差点右左折時の横断歩行者や自転車、交差点での出会い頭の車両も検知して衝突被害軽減ブレーキによる支援を行えるようになった。
フロントとリアのバンパー内にはそれぞれ4つずつのセンサーを搭載。これらのセンサーで障害物との距離を測り、4段階のブザー音とメーター表示で障害物の接近を知らせる「パーキングセンサー」を搭載した。障害物との衝突の危険性があるときは前後ともに緊急ブレーキを作動させる「低速時ブレーキサポート(前進・後退)」も搭載された。
上級グレードのハイブリッドMZは電動パーキングブレーキの搭載により、アダプティブクルーズコントロール(ACC)は全車速追従に加え、停止保持機能も搭載。また、単眼カメラとミリ波レーダーの精度が向上したことで、カーブ手前でカメラがカーブを認識してあらかじめ減速したり、追い越し車線に車線変更した際に速度を上げ、走行車線に戻る際に自動で減速したりする機能が盛り込まれた。
ナビゲーションディスプレイ横にはドライバーをモニタリングするカメラを設置。ドライバーの居眠り、眠気、脇見などを検知するとブザーとメーターない表示でドライバーに警告してくれる機能も搭載されている。
搭載エンジンは1.2Lのみで、マイルドハイブリッド搭載車と非搭載車を用意
前述したように、新型スイフトではマイルドハイブリッド搭載グレードと非搭載グレードが用意される。すべてのグレードに2WDと4WDが用意され、量販グレードには5速MTも用意された。
グレード構成と価格は以下のとおり。
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
ハイブリッドMZ | 2WD | CVT | 216万7,000円 |
4WD | 233万2,000円 | ||
ハイブリッドMX | 2WD | CVT | 192万2,800円 |
5MT | 192万2,800円 | ||
4WD | CVT | 208万7,800円 | |
XG | 2WD | 172万7,000円 | |
4WD | 189万2,000円 |
量販グレードとなるハイブリッドMXは2WDで200万円を切っている。マイルドハイブリッド搭載でこの価格帯はお買い得度が高い。
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旧型モデルと比較した新型スイフトの進化ポイントはココ!
外観、内装、使い勝手、走り、安全装備、そして価格まで、気になるポイントごとに新旧モデルを比較してみよう。
【外観】単にスポーティなだけではない、上品でファッショナブルなイメージをプラス
先代スイフト
新型スイフト
前述したように、基本的なシルエットは先代のイメージを踏襲し、ひと目見て「スイフトだ」とわかるようにしてある。だが、外観をじっくり見れば見るほどに、先代とは違う上品な佇まいであることに気づくはずだ。
その印象を与えているのが、クラムシェル構造のボンネットと、そこを起点にボディをぐるりと一周しているキャラクターライン。単にスポーティなだけではないデザインになったことで、新型スイフトには新たな顧客も興味を示すに違いない。
フロントライト内にはL字型のポジションランプが配置され、これがシグネチャーとしての役割も果たしている。昨今はLEDポジションランプがウインカーを兼ねていて、右左折時には片方のポジションランプが消えてオレンジ色のライトが点滅しているのをよく見かける。スイフトはL字のポジションランプの下に専用のウインカーが配置されている。
【内装】よりドライバーオリエンテッドになったインテリア
先代スイフト
新型スイフト
新型スイフトはナビ画面やエアコンルーバー、エアコンパネルなどインパネセンターの操作部をドライバー側に8度傾けている。先代は5度だったので、運転中の操作が一層しやすくなったのが特徴だ。ちなみに運転席側に配置されるスイッチもドライバー側に3度傾けられている(先代は傾きなし)。
先代はインパネに多少の抑揚感が付けられていたものの、基本的にはシンプルで機能性を重視したデザインだった。新型はドアトリムまで伸びるオーナメントを採用したことで広がりのあるデザインになった。オーナメントの柄とシートの柄に共通性をもたせることで、デザインのバランスも取られている。
【使い勝手】電動パーキングブレーキの採用でオートブレーキホールドも搭載された
新型の上級グレードであるハイブリッドMZにはスズキの小型車初となる電動パーキングブレーキを採用。この機能に付随して、停車中にブレーキペダルから足を離しても停車状態をキープしてくれる「オートブレーキホールド」も採用された。
信号待ちや渋滞の中でブレーキペダルを踏み続ける時間が少なくなるので、疲労軽減に貢献してくれる便利な機能が搭載されたのはうれしいところ。そしてハイブリッドMZはタイプAとタイプCのUSB電源ソケットが標準装備になる。
ボディサイズは先代同様に5ナンバーサイズになる。そして最小回転半径は先代同様の4.8m。細い路地や狭い駐車場でも取り回しがしやすいのは、街乗り中心で使う方にとって便利な部分だ。
ラゲッジスペースは荷室までの地上高が10mm低くなり、荷室の幅は15mm広くなった。大きな違いではないが、頻繁に荷室に荷物を積む機会がある方にはうれしい部分だろう。
【走り】評価の高かった旧型からさらにレベルアップ、特に静粛性の向上が著しい
新型スイフトはパワートレーンを刷新。新開発のエンジンとCVTを搭載した。エンジンは電動ウォーターポンプや吸気VVTを採用し、EGRバルブやEGRガスの通路に改善が加えられている。シリンダーヘッドもバルブのはさみ角を最適化し、吸気ポート形状やピストンの冠面形状を最適化することで、燃料と空気が効率的に混ざるようにしている。
燃費は先代の1.2Lマイルドハイブリッド車のFF車が21.0km/Lだったのに対し、新型は24.5km/L(いずれもWLTCモード)と燃費が大きく向上している。
スズキの1.2Lエンジンは走りの気持ちよさにも定評がある。原稿執筆タイミングの関係でまだ公道での試乗はできていないが、新型も心地よい走りが楽しめるはずだ。
【安全性能】カメラとレーダーの性能アップで、先進安全装備の機能が大きく進化
新型スイフトはデュアルセンサーブレーキサポートIIを搭載。単眼カメラとミリ波レーダーの検知角度が広がったことで、交差点内での危険も察知できるようになった。低速時は先代がエンジン出力を抑制して危険を回避するタイプだったのに対し、新型は低速時も緊急ブレーキを作動して衝突の回避または被害軽減を図るシステムにアップデートされている。
「先行車発進お知らせ機能」は、先行車が発進したときだけでなく止まっていたときも信号の切り替わり(赤から青、矢印信号など)を検知してドライバーに知らせてくれるようになった。
そして大きく進化したのがACC。ハイブリッドMZは電動パーキングブレーキを搭載したことで、全車速追従に加えて停止状態を保持する機能も搭載。また、単眼カメラの精度があがったことで、カーブを認識してカーブ手前で減速してコーナーを曲がったり、車線変更をした際の速度調整を行ったりできるようになった。すでに新型スペーシアに搭載され、その実用性の高さはお墨付きだ。
【価格】価格は先代よりかなり高くなったが、装備を考えると納得
先代最終モデルはマイルドハイブリッド搭載の量販グレードであるハイブリッドMGのFF車が163万3,500円で、新型のハイブリッドMX のFF車が192万2,800円。
マイルドハイブリッド非搭載となるエントリーグレードは先代のXG(FF/CVT)が154万円なのに対し、新型のXG(FF/CVT)は172万7,000円。価格は18万〜29万円ほど高くなっている。
ただ、先進安全装備の内容が大きく向上していることや材料費の高騰を考えると、この値上がりは致し方ないと言えるだろう。
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新型か旧型か。自分にベストな選択をするには?
先進安全装備を中心に大きく進化した新型スイフトだが、旧型オーナーは買い替えるべきなのだろうか。また、流通量の増加が予想される旧型の中古車は狙い目なのだろうか。
新型スイフトを買うべきは先進運転支援の内容にこだわる先代オーナー&すべての先々代オーナー
先進安全装備にこだわりたい方にとって、新型スイフトの装備内容は魅力的なはず。最新のものがほしいと思ったら迷わず購入したい。また、現在先々代のスイフトはマイルドハイブリッドの設定がなく、2013年に一部グレードにエネチャージが搭載されたくらい。燃費にこだわりたい方にとってマイルドハイブリッドは大きなアドバンテージになる。迷わず購入を決めていいだろう。
判断が難しいのは、先代のハイブリッド(ストロングハイブリッド)を選んだ方。現段階でストロングハイブリッド搭載車の設定はないため、しばらく乗り続けても良いのではないだろうか。また、スイフトスポーツは毎回スイフトのフルモデルチェンジからしばらく経って登場している。断言はできないが、新型でもきっと出てくると思うので、そのときを楽しみに待っていよう。
中古車流通量の増加が予想される旧型モデルは決算シーズンが狙い目!
2023年末に発売されたスイフトは、年明けの初売りで多くの方が買い替えを検討するはず。そのため、新型がその方の手元にやってくるのは早くても2月頃になるはずだ。そうなると代替えされた車が中古車として市場に出てくるのは2月後半から3月の決算シーズンになるだろう。
実は先代スイフトは、まだ総額100万円以内で買える中古車の台数は少なめだが、今後はマイルドハイブリッド搭載車でも総額100万円以内で手に入る中古車が増えてくるはずだ。
王道的なスタイルが好きな方は要注目!
空力性能を意識し、フロントガラスを大きく傾斜させたスタイルのコンパクトカーが増えている昨今。ベーシックでひと目見てスイフトだとわかるスタイルに安心感を覚える方も多いのではないか。室内空間は「広大!」というわけではないものの、普段使いでリアシートまで使っても不便を感じるシーンは少ないはず。
スイフトの魅力は軽さにもある。FF車ならマイルドハイブリッド搭載グレードでも車両重量が1tを切るので、車検時の自動車重量税が安くなる。そして軽さは軽やかな走りにも繋がってくるので、車での移動を楽しみたい方にピッタリ。走りを存分に楽しみたいなら、スポーツグレードのスイフトスポーツが登場するのを心待ちにしていよう。
新型か旧型か。標準モデルかカスタムか。オプションはどれをつけるか……。
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※この記事は2023年12月時点の情報で制作しています