たとえばInstagtramで[リンクをコピー]のボタンを押した時に「リンクがクリップボードにコピーされました」と表示され、「クリップボード」のアプリを探した事はありませんか?
クリップボードとはテキストや画像の「コピー&ペースト(※)」に必要な一時的な保存領域の事であり、「クリップボード」というアプリは存在しません。またクリップボードの中身は基本的に見られないようになっています。
ですが専用のアプリを使えば中身を見たり、履歴を確認できたりと、様々な応用ができるのです。本記事ではクリップボードの基本から、意外に知らない詳しい仕組み、便利な使い方を解説します。
(※)ペースト:iOSでは「ペースト」、Androidでは「貼り付け」表記。意味は同じ。

スマホの「クリップボード」とは?どこにある? 履歴の見方・アプリの使い方【iPhone/Android】
クリップボードの簡単な確認方法
さて「クリップボードはどこにあるか?」という疑問ですが、先述のようにクリップボードを直接見る機能はありません(一部のAndroid機種を除く)。
ですが間接的な方法として、メモ帳アプリなどを開いて[ペースト](貼り付け)をするだけでクリップボードに最後に保存されたものを手っ取り早く確認できます。
ここではiOSを例に説明します。Androidでも大まかなやり方は変わりません。「メモ帳」を開く>カーソル付近を長押し>[ペースト](Androidは「貼り付け」)の順に操作すればOK。
すると現在クリップボードに保存されているものが表示されます。もし[ペースト]を押した時に画面に変化がなければ、クリップボードには何も保存されていません。
クリップボードに保存されているものが画像の場合、[ペースト]先が画像表示に対応していればそのまま画像が表示されます。逆に[ペースト]先が画像表示に対応していない場合は、[コピー]元のURLなどに置き換えられます。
なおAndroidの場合は、一部の機種を除いて画像のクリップボードへの[コピー]は対応していません。対応している機種も、スクリーンショットのみ対象など制限付きの場合が多いです。
そもそも「クリップボード」とは何か?
先述のように、クリップボードとはユーザーが指定したテキストや画像を一時的に保存しておく場所(領域)の事です。
語源は文房具のクリップボード(用箋挟)で、手軽に紙の付け替えができるイメージにあやかって付けられました。
知らず識らずにコピペで使っている
もしクリップボードという名前にピンと来なくても、テキストのコピー&ペースト(コピペ)で自然とクリップボードを使っています。
たとえばウェブにある文章をメモ帳に写したい時は、ウェブで[コピー]→メモ帳に[貼り付け](ペースト)操作を行います。
これを内部的に詳しく説明すると、“[コピー]でクリップボードに文章を保存”し、“[貼り付け]でクリップボードに保存された文章を入力”しているのです。
スマホに限らず、WindowsなどのPC(パソコン)でもおなじみの機能ですね。
コピー&ペーストのやり方をおさらい
ではクリップボードがどういう状態になっているのか確認しながら、コピー&ペーストのやり方をおさらいしましょう。
Applivトップページの「あなたの「欲しいアプリ」が見つかる」をコピーする時を例に解説します。
ウェブ上のコピーしたいテキスト(あなたの「欲しいアプリ」が見つかる)を長押しします。すると選択範囲の始点と終点を示す青いスライダーが表示されます。
ウェブ上の「あなたの「欲しいアプリ」が見つかる」が範囲内に収まるようにスライダーを動かし、[コピー]をタップ。これでクリップボードに「あなたの「欲しいアプリ」が見つかる」というテキストが保存されました。
あとは先述のように、メモ帳などを開いてカーソルを長押し、[ペースト]すればOK。
クリップボードに保存された「あなたの「欲しいアプリが」見つかる」というテキストが、メモ帳に入力されました。
なお新たに[コピー]または[カット](切り取り)されるまで、クリップボードに保存されたテキストは何度でも[ペースト]できます。
[コピー]と[カット](切り取り)はほぼ同じ
[コピー]と似た機能に[カット]がありますが、クリップボードにテキストや画像を保存するという意味では両者はほとんど同じです。違いは[コピー]が原文が残るのに対し、【カット】は原文が削除されるという点のみです。
アプリを使うとより簡単で便利に【iPhone編】
クリップボードは拡張アプリを利用する事で、より便利に使いこなせます。おすすめのアプリはiPhoneが『Clip & Paste』、Androidが『aNdClip』です。
拡張アプリを使えばクリップボードの中身を見るほかに、クリップボードの履歴を参照したり定型文を登録したりと、様々な便利機能が使用可能。
まずはiOSの『Clip & Paste』の使い方を確認していきましょう。全機能を使うには240円の課金が必要ですが、無料でも十分実用的に活用できるアプリです。
Androidはこちら
『Clip & Paste』でのクリップボード確認方法&ウィジェット登録方法
『Clip & Paste』でのクリップボードの確認方法は、アプリのメインメニューかウィジェットの「History」を見るだけ。
また『Clip & Paste』にはウィジェット機能も付いています。ウィジェットの登録方法とあわせて確認しましょう。
アプリを開くとすぐにClip(定型文)とHistory(履歴)が表示されます。このうちHistoryの一番上にあるテキストが現在クリップボードに保存されています。なお画像をクリップボードにコピーしていた場合は、URLなどの文字列に置き換えられます。
ウィジェットの登録方法
『Clip&Paste』はiOSのウィジェットに対応しており、登録すればアプリを開かずにクリップボードを確認できるようになります。ウィジェットの登録方法を確認しましょう。
どの画面でもいいので、画面最上部から下にスワイプ。すると通知センターが表示されるので、通知センターを左から右にスワイプします。
ウィジェットの表示画面が立ち上がるので、丸い[編集]ボタンを押します。するとウィジェットの設定画面になります。次に設定画面の『Clip & Paste』の左の[+]ボタンをタップします。
『Clip & Paste』が上部に移動したのを確認したら、[完了]をタップ。これでウィジェットの登録は完了です。アプリを起動しなくても、ウィジェットを開くだけで『Clip & Paste』の大部分の機能を使えるようになりました。
『Clip & Paste』で履歴を残してコピペする方法
クリップボードは基本的に1個のデータしか保存できません。メールアドレスなど入力が大変なテキストも上書きされてしまうので、不便に感じる事も。
ですが『Clip & Paste』があれば、テキストの[コピー]や[カット]をした際に自動的に履歴が記録されていきます。ユーザーは「History」からコピーしたいものをタップして[ペースト]すればOK。
なお無料版では5件までクリップボードの履歴の保存が可能で、5件以降は古いものから削除されます。しばらく無料で使ってみて、もっと古い履歴が必要だと感じたら課金を検討するといいでしょう。
履歴はアプリ内の「History」に保存されています。履歴からコピーしたい時は、「History」の中からコピーしたいテキストをタップ。これだけでクリップボードにコピーされます。
あとは通常通り、文字を入力したい場所を長押ししてメニューを開き、[ペースト]をタップすればコピペ完了です。
ウィジェットを使う場合
『Clip & Paste』ウィジェット機能を使えばもっと簡単。アプリを開かなくても、ウィジェットを呼び出して「History」からコピーしたいテキストをタップし、[ペースト]するだけです。
どの画面でもいいので、画面最上部から下にスワイプ。通知センターが表示されたら左から右にスワイプします。
『Clio & Paste』のウィジェットの「History」の中から、コピーしたいテキストをタップ。
ウィジェットを閉じると直前に表示していた画面に戻るので、後は文字を入力したい場所に[ペースト]すればコピペ完了です。
『Clip & Paste』の定型文登録方法
『Clip & Paste』ではクリップボードのClip(定型文)を登録可能。履歴と違い、定型文は上書きされないため、いつでも好きな時にコピペができます。メールアドレスや顔文字などを登録しておくと便利。
『Clip & Paste』では無料版だと3個までClipを登録可能。一度アプリ外からテキストを[コピー]して「History」に保存し、「History」から「Clip」に移行すれば登録完了です。
まずは定型文にしたいテキストを、メモ帳などで入力し[カット]or[コピー]します。すると『Clip & Paste』の「History」にテキストが登録されます。
Clipに登録したいテキストを左にスワイプすると[Edit]、[Clip]、[Delete]の3つのボタンが出現するので、[Clip]をタップします。
これで「Clip」に定型文が保存されました。これでタップするだけでいつでもクリップボードにコピーができ、好きな所にペーストが可能です。
ウィジェットを使う場合
ウィジェットでもアプリと同様に「Clip」の登録と使用ができます。
アプリを使うとより簡単で便利に【Android編】
Androidスマホでは『aNdClip』がおすすめ。2012年のスマホ黎明期にリリースされ、現在もバージョンアップが進められている老舗アプリです。『aNdClip』にもクリップボード履歴の確認や定型文の登録など、便利な機能が満載です。
ただし2020年4月17日現在、AndroidのOSバージョンが「Android 10」だと、履歴機能が正常に動作しません。バージョンアップにより修正される可能性はありますが、それまではAndroid 10ユーザーの方は『Gboard』の利用をおすすめします。
Androidのバージョン確認方法はこちら
『aNdClip』でのクリップボード確認方法
『aNdClip』でのクリップボードの確認方法は、アプリを開いた時に表示される履歴画面の一番上を見るだけです。
履歴の一番上のテキストが、現在クリップボードに保存されているものです(上記画像の場合は「アプリヴ」)。
また『aNdClip』はアプリを開かなくても動作しており、通知領域に常駐しています。どの画面でもいいので画面の最上部から下にスワイプすれば、いつでもクリップボードを確認できます。
『aNdClip』で履歴を残してコピペする方法
クリップボードは基本的に1個のデータしか保存できませんが、『aNdClip』があればクリップボードの履歴が自動的に記録されていきます。
履歴からコピペしたい時は、『aNdClip』を開いてコピーしたいテキストをタップ→後は好きな場所に[貼り付け]するだけ。メールアドレスなどタイピングが大変なテキストを入力したい時に便利な機能です。
『aNdClip』を開くとすぐにクリップボードの履歴リストが表示されます。コピーしたいテキストをタップすればクリップボードへのコピー完了。同時に履歴リストの一番上に移動します。
後はテキストを入力したい場所に移動し、カーソルを長押し→[貼り付け]をタップすればコピペ完了です。
Androidの一部端末では、標準で履歴機能がある
Androidの一部機種では標準でクリップボードの履歴機能が搭載されており、アプリを使わなくてもクリップボードの履歴からコピ&ペーストができます。
本記事ではGalaxy S9(SC-02K)のクリップボード機能を使って使い方を解説します。
何でもいいので文字入力画面を開き、カーソルを長押しします。すると[貼り付け]のほかに[クリップボード]が出てくるので、これをタップ。画面下部にクリップボード履歴が表示されます。
ちなみにGalaxyのクリップボードではテキストのほか、スクリーンショットも自動的にクリップボード履歴に追加されていきます。
あとはペーストしたいテキストをタップすればコピペ完了です。
『aNdClip』の定型文登録方法
『aNdClip』では履歴とは別に、定型文を登録できます。定型文は履歴と違い上書きされる事がありません。頻繁に入力するテキストを登録しておくと文字入力がよりスムーズになります。
『aNdClip』で定型文を登録する方法は以下の2通り。
・クリップボードの履歴から定型文を登録する方法
・アプリ内で新たにテキストを入力して定型文を登録する方法
それぞれの手順を解説していきます。
クリップボードの履歴から定型文を登録する方法
定型文に登録したいテキストを長押しするとメニューが表示されます。メニュー内の[定型文に登録]をタップしましょう。
次に任意でフォルダとタグを指定できます。空白でも問題ありませんが、指定しておくと後で定型文の検索や整理をする際に役立ちます。最後に[OK]をタップすれば定型文の登録完了です。
アプリ内で新たにテキストを入力して定型文を登録する方法
『aNdClip』の画面上部にあるフォルダアイコンをタップ。すると定型文の管理画面に移動します。
[︙]をタップ>[新規作成]をタップして定型文の入力画面に移行します。定型文にしたいテキストを入力して[OK]をタップすれば完了です。任意でタグを入力しておくと、後で検索しやすくなります。
Android 10ユーザーは『Gboard』がおすすめ&使い方
2020年2月4日にリリースされたOのバージョン「Android 10」。これにバージョンアップをすると、『AndClip』の履歴が上手く機能しなくなってしまいます(2020年4月17日現在)。
そこでAndroid 10にバージョンアップした場合は、代わりにGoogleの『Gboard』を使うのがおすすめです。
『Gboard』はキーボードアプリですが、クリップボード機能が搭載されているのが特徴。クリップボードの履歴確認、定型文の登録も可能です。
『Gboard』の詳しい使い方はこちら
『Gboard』で履歴を残してコピペする方法
『Gboard』を使っていれば、自動的にクリップボードの履歴が保存されていきます。ペーストしたい時も、履歴からタップするだけでOK。
『Gboard』の定型文登録方法
『Gboard』では「テキストの固定」が、定型文の代替として利用できます。
履歴から定型文にしたいテキストを長押しします。
続いてピンのアイコンをタップ。
するとテキストが「固定」のカテゴリーに移動され、上書きされなくなります。これで定型文として利用可能です。
クリップボードのテキストや画像を削除する方法
メールアドレスやパスワードなど人に見られたくないテキストをクリップボードにコピーしていた場合、そのまま残しておくのが気になる人もいるはず。そこでクリップボードのデータを削除する方法を紹介します。
実質的にクリップボードのデータを無かった事にするものから、アプリを使って完全に消去する方法まで様々です。
【iOS・Android共通の手軽な方法】「空白」を[コピー]する
要はクリップボードに見られたくないものがあるのなら、見られてもいいものに上書きしてしまえばいいのです。
方法は簡単。メモ帳でもなんでもいいので文字入力画面を開き、スペース(空白)を1文字打ってそれを[コピー]するだけ。これでクリップボードに空白が保存され、実質的に削除ができます。
文字入力画面を開いて空白(スペース)を打ったら、カーソルを長押し、表示されたメニューの中から[すべてを選択]をタップします。
あとは[コピー]をタップすれば完了。クリップボードに空白が上書きされるため、実質的な削除ができます。
【iOS】『Clearboard』を起動して削除する
iOSであれば、アプリ『Clearboard』を起動するだけでクリップボードのデータを完全に削除できます。
試しにクリップボードに「アプリヴ」のテキストがある状態で説明します。
『Clearboard』を起動すると、自動でカウントダウンが始まります。
カウントがゼロになると「The Clipboard is Clear!」と表示され、クリップボードの情報が削除されます。
試しにこの状態で[ペースト]しても、何も入力されません。
【Android】スマホを再起動する(一部機種を除く)
AndroidではGalaxy S9(SC-02K)などの一部機種を除いて、スマホの端末を再起動するとクリップボードのデータが削除されます。スマホの起動を待つ必要はあるものの、方法は非常に簡単です。
ここではGoogle Pixel 3を使って、クリップボードに「Appliv」というテキストがある状態で説明します。
スマホの電源ボタンを長押しして表示されたメニューの中から、[再起動]をタップ。これだけでクリップボードのデータが削除されます。
試しに文字入力画面でカーソルを長押ししても、クリップボードには何も保存されていないため[貼り付け]が表示されません。
意外に知らないクリップボード事情。使いこなすと文字入力が快適に
コピー&ペーストに使うクリップボードですが、保存されたテキストや履歴の確認、定型文の登録方法など知らない事も意外に多いのでは?
特に履歴や定型文を使いこなせれば、コピー&ペーストの手間が大幅に減るため便利。クリップボードひとつで文字入力がよりスムーズになるので、ぜひ使いこなしましょう。
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